2016年12月22日

日本の大学で博士の学位が取り消された事例集(2012年〜2016年)

日本の大学で博士の学位が取り消された事例集(2011年まで)の続き。

◆2012年5月/大分大学/博士(医学)[論文博士]

 2000年6月30日大分医科大学(2003年に大分大学に合併)より学位授与、2012年5月22日取消。詳細不明。

【大学側発表】
※2016年12月22日現在、大分大学のサーバ上からは削除されている模様。かつては http://www.oita-u.ac.jp/01oshirase/gakuihenkan.html に情報があった。

【CiNii-D】http://ci.nii.ac.jp/naid/500000207742
【NDL-OPAC】http://id.ndl.go.jp/bib/000000405783

◆2012年6月/獨協医科大学/博士(医学)[2件、論文博士]

 (1) 2006年2月23日学位授与と (2) 2009年2月24日学位授与の2名について、2012年6月26日取消。
 取消理由は「不正論文とみなされた論文」「学術誌の掲載が取り消しとなった論文」が含まれていた、というもの。2名は面談の結果、学位記を自主返還した。

【大学側発表】
学位記取消について(2012年9月3日)
http://www.dokkyomed.ac.jp/dmu/news/20120827-1686.html

(1)
【CiNii-D】http://ci.nii.ac.jp/naid/500000344579
【NDL-OPAC】http://id.ndl.go.jp/bib/000010379076
(2)
【CiNii-D】http://ci.nii.ac.jp/naid/500000474319
【NDL-OPAC】http://id.ndl.go.jp/bib/000008274307

◆2012年10月/神戸大学/博士(教育学)

 2011年3月25日神戸大学人間発達環境学研究科博士課程後期課程より学位授与、2012年10月18日取消。中国人留学生。
 2011年8月、研究紀要に掲載された論文について、別の研究者から「自身の論文と内容、表現が酷似している」とする指摘がある。人間発達環境学研究科教授会は同年10月に「無断引用」と認定、さらに、この紀要論文が博士学位論文にも使用されていたため、2012年1月、研究科教授会は不正な学位取得と認定した。10月18日、教育研究評議会が不正と認定。博士学位論文の序章と第1・3・5章に不適切な引用があり、特に第5章の「考察」の大部分が「無断引用」だった。

【大学側発表】
学位授与の取消し及び学位記の返還について(2012年10月31日)
http://www.kobe-u.ac.jp/NEWS/topics/t2012_10_31_01.html

【CiNii-D】http://ci.nii.ac.jp/naid/500000547122
【NDL-OPAC】http://id.ndl.go.jp/bib/023252919

◆2013年10月/早稲田大学/博士(公共経営)

 2010年9月15日学位授与、2013年10月21日取消。中国人留学生。
 2011年8月・10月、2013年2月と3度にわたり匿名告発があり、2012年11月に大学院公共経営研究科で内部調査を行ったところ「不適切な引用行為」が確認された。2012年12月に政治経済学術院に研究倫理委員会が設置され調査が始まった。2013年10月21日学位取消決定。後日、学位記が返還された。
 少なくとも64ヶ所について「不適切な引用」があり、うち12ヶ所は明確な盗用だった。

【大学側発表】
博士学位取り消しについて(2013年10月21日)
https://web.archive.org/web/20150502094105/http://www.waseda.jp/top/information/6516

※2016年12月22日現在、早稲田大学のサーバ上からは削除されている模様。

【CiNii-D】http://ci.nii.ac.jp/naid/500000542902
【NDL-OPAC】http://id.ndl.go.jp/bib/000011257115

◆2014年8月/大阪国際大学/博士(経営情報学)

 2012年3月14日授与、2014年8月1日取消。中国人留学生か。
 2014年4月、盗用されたする本人から、弁護士を通じて盗用についての調査を求める要求が出されたため、調査を行ったところ、第4章に多くの盗用があったことが判明した。2014年9月18日、学位記が返還された。

【大学側発表】
博士学位の取消し等について(2014年9月29日)
http://www.oiu.ac.jp/re-news/archives/2014/09/291300.html

【CiNii-D】http://ci.nii.ac.jp/naid/500000556452
【NDL-OPAC】http://id.ndl.go.jp/bib/023730964

◆2014年10月/早稲田大学/博士(工学)

 2011年3月15日早稲田大学理工学術院先進理工学研究科生命医科学専攻より学位授与、2014年10月6日取消(1年間の猶予付き、2015年11月2日確定)。
 2014年1月、当時理化学研究所に所属していた当該人物が『ネイチャー』誌に2本の共著論文を発表し(2本とものちに撤回)、大きく注目されるが、直後に論文内に不自然な箇所があるとする指摘がなされ、理化学研究所と『ネイチャー』誌が調査を開始。また有志による調査の過程で、早稲田大学に提出され国立国会図書館に納本されていた博士学位論文についても、盗用およびデータ捏造の疑惑が指摘された。
 2014年3月31日、早稲田大学大学院先進理工学研究科が調査委員会を設置。7月17日に早稲田大学総長に提出された調査報告書においては、著作権侵害11ヶ所などが認定された。しかし、当該人物が「誤って博士論文草稿を製本し、大学に提出した」と主張し、委員会は重大な研究不正を認めたものの「博士学位の取り消し要件に該当しない」と判断。10月6日、早稲田大学は「博士学位の取り消し」を決定したが、再提出まで1年間の猶予期間を与えた。2015年11月2日、早稲田大学は、猶予期間が満了し学位取消が確定したと発表した。

※2010年の東京大学大学院工学系研究科の事件に引き続き、インターネット上での問題提起(クラウド査読)が注目を集め、さらに、『ネイチャー』誌への論文掲載時から一般マスメディアでも大きく取り上げられていたこともあって、学界のみならず一般的にも大きな騒ぎとなった。1年の再提出猶予期間を置いた例は、国内では他に見られないが、結局、再提出はなされなかった。

【大学側発表】
「先進理工学研究科における博士学位論文に関する調査委員会」調査報告について(2014年7月19日)
https://web.archive.org/web/20141008144902/http://www.waseda.jp/jp/news14/140717_committee.html
先進理工学研究科における博士学位論文に関する調査委員会調査報告書
http://www.waseda.jp/jp/news14/data/140717_committee_report.pdf
早稲田大学における博士学位論文の取り扱い等について(2014年10月9日)
https://web.archive.org/web/20150320164319/http://www.waseda.jp/top/information/14763
早稲田大学における博士学位論文の取扱いについて(2015年11月2日)
http://archive.is/20151102155622/http://www.waseda.jp/top/news/34191
OH氏のコメントに対する本学の見解について(2015年11月5日)
http://archive.is/20151104235047/https://www.waseda.jp/top/information/34235

※2016年12月22日現在、早稲田大学のサーバ上からは、報告書本体など一部を除いて削除されている模様。

【CiNii-D】http://ci.nii.ac.jp/naid/500000543019
【NDL-OPAC】http://id.ndl.go.jp/bib/000011257903

◆2014年12月/徳島大学/博士(医学)[論文博士]

 2002年3月28日学位授与、2014年12月22日取消。
 学位論文が、東京大学分子細胞生物学研究所エピゲノム疾患研究センター長(2012年3月辞職)の研究室による大規模な実験結果の捏造・改竄事件(「2015年3月/東京大学/博士(農学)」の項を参照)に関連したものであることが判明し、当該論文が掲載誌から撤回され、また、東京大学での調査でも当該論文に捏造・改竄が認められたことによる。

【大学側発表】
学位の取消しについて(2014年12月26日)
http://www.tokushima-u.ac.jp/docs/2014122600039/

【CiNii-D】http://ci.nii.ac.jp/naid/500000223601
【NDL-OPAC】http://id.ndl.go.jp/bib/000003542371

◆2015年3月/東京大学/博士(農学)[3件]

 (1) 2005年3月24日学位授与、 (2) 2005年10月3日学位授与、 (3) 2007年3月22日学位授与、の3名について2015年3月23日付で学位取消。 (2) は論文博士。 (3) は元東大助教(2009〜13年)。
 東京大学分子細胞生物学研究所エピゲノム疾患研究センター長(2012年3月辞職)の研究室による大規模な実験結果の捏造・改竄に関与し、提出論文にも捏造が発覚した。東京大学としては3〜5人目の学位取消(上記の通り、この事件では他に徳島大学で1名が学位取消となっている)。

【大学側発表】
記者会見「東京大学分子細胞生物学研究所・旧K研究室における論文不正に関する調査報告(最終)」の実施について(2014年12月26日)
http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_261226_j.html

※その他、東大から発表された関連記事は以下を参照。
科学研究行動規範に関する報道発表資料等
http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/administration/codeofconduct/press.html

(1)
【CiNii-D】http://ci.nii.ac.jp/naid/500000340174
【NDL-OPAC】http://id.ndl.go.jp/bib/000008171366
(2)
【CiNii-D】http://ci.nii.ac.jp/naid/500000360733
【NDL-OPAC】http://id.ndl.go.jp/bib/000008491107
(3)
【CiNii-D】http://ci.nii.ac.jp/naid/500000431423
【NDL-OPAC】http://id.ndl.go.jp/bib/000009311387

◆2015年3月/大正大学/博士(仏教学)

 2012年3月15日学位授与、2015年3月4日取消。
 外部から盗用の指摘があり、2014年12月17日に学長より仏教学研究科に調査が命じられ、2015年1月14日、仏教学研究科において盗用の事実が確認された。

【大学側発表】
博士の学位の取消しについて(2016年4月12日)
http://www.tais.ac.jp/guide/latest_news/20160412/41312/

【CiNii-D】http://ci.nii.ac.jp/naid/500000578025
【NDL-OPAC】http://id.ndl.go.jp/bib/024924550


posted by 長谷川@望夢楼 at 18:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 疑似科学・懐疑論・トンデモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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