Museum of Hoaxes [http://www.museumofhoaxes.com/] の書籍版。中世ヨーロッパの教会偽造文書からインターネット上のデマまで、古今東西ありとあらゆるウソ、インチキ、デマ、捏造、いたずらなどのコレクション。有名どころをかいつまんで挙げていくと――コンスタンティヌスの寄進状、女教皇ヨハンナ(ジョーン)、ジョン・マンデヴィルの『東方旅行記』、自称台湾人ジョージ・サルマナザール、ベリンガーの偽化石、ジェイムズ・マクファーソンの『オシアン詩集』、トマス・チャタトンの『ロウリー詩集』、ウィリアム・アイアランドのシェイクスピア贋作、メルツェルの自動チェス人形、フィジーの人魚、カーディフの巨人、『シオン賢者の議定書』、ケペニックの大尉、ピルトダウン人、コティングリーの妖精写真、鼻行類、『アイアンマウンテン報告』、タサダイ族、『第三の選択』、『ヒトラー日記』、ソーカル事件、ジェダイ教……等々。ひとつひとつの項目の掘り下げが浅いのと、題材が欧米に偏っているのはいささか致し方ないところか。なお、日本からも旧石器捏造事件が取り上げられてます。
翻訳はおおむねよく調べているとは思うのだけれど、一部、 cerealogist (ミステリーサークル研究家)を「穀類研究家」と訳している(確かに直訳としては正しいんだけど……)ようなようなおかしな点もありました。
この手にご興味があるのならば、少し前に出た↓こんなものでも、
詐欺とペテンの大百科、カール・シファキス著、鶴田文訳、青土社
Sifakis, C., HOAXES AND SCAMS, Facts On File, New York 1993
ハードカバーで少々お高い(あと、厚い)ですが、文春文庫本の元ネタのいくつかも、こっちのほうがより正確に書いてあります。
「左利き用ハンバーガー」はつい笑ってしまいました。