中澤英雄「アインシュタインと日本」(『致知』2005年11月号)
ぼくは全く知らなかったのだが、「アインシュタインは『万世一系の天皇を戴く日本がいずれ世界の盟主となるであろう』と予言した」という話が一部で流布しているらしい。谷口雅春とか清水馨八郎とか名越二荒之助とかいった、ある意味で錚々たる面々がこの話を随所で紹介している由である。これは明らかに「八紘一宇」論であり、常識的に考えても、アインシュタインが本当にこんなことを言ったとはまず思えないのだが。
で、この「予言」の来歴を丹念に追ったのが、独文学者の中澤英雄氏(東京大学)の上記の文章。中澤氏は、「どこにも確固たる典拠がない」「内容がアインシュタインの思想と矛盾する」という二点から、この「予言」を虚構だと断定している。中澤氏によれば、この「予言」のそもそもの出もとは、なんと「八紘一宇」の言いだしっぺである田中智学(巴之助、1861-1939)その人なのだそうである。
この偽「予言」が、「アインシュタインという外国の偉い学者が日本のことを褒めている」という理由で広まったことはまず間違いないところだろう。それにしても、孫引きの怖さをつくづく思い知らされる話である。出所不明の文章はうかつに信じるな、必ず一次史料に遡って確認せよ――まあ、鉄則中の鉄則ではあるのだが。
ですよね、確かに。
http://ameblo.jp/disclo/entry-10013327332.html
どっちがホントなんでしょか???
アインシュタインの予言について
http://alberteinstein.seesaa.net/
この言葉は
コメントくださって、まことにありがとうございます。
長谷川さまを全面的に信用して、書き直しておきましたよ。
(書いていることを削るぶんには、内容的なまちがいは、
入らないですから、そのまま信用しても問題はないでしょう。)
http://taraxacum.hp.infoseek.co.jp/teardrops/pseudo/einstein.html
それで話は終わりですが、発言を肯定される方が「いい話だからほっておけばいい」旨書かれていました。
ある意味、これが多くの人が歴史について考えていることかも知れなず色々考えさせら得れます(もちろん、簡単に肯定は出来ませんが。)
私は、金子務氏の労作『アインシュタイン・ショック』(岩波現代文庫、2005年。初版は1981年)にこの話が言及されていない、ということを確認した時点でやる気をなくしてしまいました(中澤英雄氏のもとに寄せられた投稿によれば、金子氏も「予言」の存在をはっきり否定したという。 http://www.yorozubp.com/0506/050626.htm)。
>「いい話だからほっておけばいい」
こういう主張をする人にとって、「歴史」というのは「歴史物語」にすぎないのではないかと思います。